アトリエ 訪問


2022年11月中旬、晴れた日の午後。東京都のご自宅に石田浩美さんを訪ね、「好きな作家」と「こだわり」について語っていただきました。

石田浩美(いしだひろみ)さん

作品「モノとヒト」シリーズと

☆石田浩美さんの…

好きな作家:最初に思い浮かぶのはピカソとマチスです。
私は日芸に入ってから本格的に絵画をはじめ、オーセンティックな絵画を技術と理論の両面から学びました。基礎的なインプットをする中で二人を知り、多くを学びました。そのうえで好きな作家は、サイ・トゥオンブリーです。
日芸の絵画の先生方の中にはピカソ、マチスに加えてド・スタール等の影響を受けている方も多いなか、私は彫刻や理論系の授業も積極的に受けていました。これらの授業はオーセンティックな絵画と現代美術の溝のような違いを理解していくのに大いに役立ちました。それがきっかけでサイ・トゥオンブリーにも興味を持ち始めました。
画集でなく実際に彼の平面作品をはじめて観たのは、2015年当時品川にあった原美術館で催された展覧会「サイ トゥオンブリー:紙の作品、50年の軌跡」です。私はトンブリーの作品を見て、トンブリーの素材やサイズに対しての感覚や、時代性、思考に強く惹きつけられました。
その後、幸いなことにバウハウス留学時の小旅行で訪れたミュンヘンのブランドホルスト美術館で「サイ・トゥオンブリー常設展」を観る機会を得ました。改めて、彼の作品の魅力を再認識しました。

こだわり:私にとっての「こだわり」は、抽象的な絵画ではあるけれどモチーフをしっかり観て描くことです。モチーフ(=対象物)をじっくり観察して対象物に関して得られた情報やイメージの限界、それが表現の限界にも通じると考えているからです。
描く時にはモチーフを観察しながら、モチーフのことを知るために考えを巡らせています。それは、どんな素材でできているのか、触るとどんな感じがしそうか、瞬きごとに刻々と変化する光にはどんな反応をみせるのか、といったモチーフが持つ特性などです。
以前、ヨガの勉強や解剖学に熱中していた時期があります。それは運動に関する解剖学の知識もモチーフとしての身体にも繋がるからでした。身体は骨、神経、筋肉、皮膚、それらで守られている脳や内臓といった複雑で精妙な身体の構造を持ちます。そしてその時々の意図や動作によって様々な変化があります。
これから先も様々な領域で知識と経験を増やして、世界に対する解像度を高めていきたいです。




(構成・撮影 関 幸貴 )



プロフィール

石田浩美さん
◆石田浩美(いしだひろみ)さん
画家
日本大学芸術学部美術学科絵画コース卒業。同大学院修士課程修了後、東京藝大学大学院に進む。藝大では交換留学生としてバウハウスでも学んだ。
・主な活動歴
個展
2014年 個展 藍画廊 /銀座
2015年 個展 みゆき画廊 /銀座
2016年 個展 ガレリアグラフィカbis/銀座
2017年 個展 数寄和/西荻窪
2021年 個展 愛でるギャラリー祝 medel gallery shu/日比谷
公募展
2012年2013年 新制作展 絵画部 入選
2014年 トーキョーワンダーウォール 入選
2015年 トーキョーワンダーシード入選
グループ展
2021年 The New Normal-Past, Present, and Future-」2人展
愛でるギャラリー祝 medel gallery shu/日比谷
2022年 アートブルーム3 ミーツギャラリー /銀座

web site URL:
https://www.hiromiishida.com

☆石田浩美 個展 開催情報
会期:2023年1月24日(火)~1月29日(日)
時間:12:00~19:00 *最終日のみ12:00~17:00
会場:中和ギャラリー
所在地:東京都中央区日本橋本町1丁目5-17 町田ビル 4F
電話:03-6262-1522
 
好きな「サイ・トゥオンブリー作品集」 作品「モノとヒト」シリーズ 愛用画材「サクラクレパス」など 制作時に着用するツナギ

 

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