アトリエ 訪問

7月中旬の土曜日、吉村サカオさんと待合せ、JR高尾駅から車で10分程の山間にあるアトリエを訪ね、様々な話を聴かせていただきました…

吉村(ヨシムラ)サカオさん

アトリエの吉村サカオさん

☆吉村さんの…
好きな作家 :

浪人して予備校生活を送り、造形的な仕事をしようと思って多摩美術大学に入り、最初は具象彫刻を学びました。だから入学当初、私はアーティストと言うより、どちらかと言えばアルチザン(職人)志向でした。ところが、多摩美では現代美術の作家たちが先生をやっていて、まず造形的なことをやっていると否定されてしまうのです。ある意味、これは新入生が制作以前に受ける多摩美流の哲学的洗礼で、技術だけでなく自分自身での精神的修練のスタートとも言え、私は「自らが作る意味」を考え始めました。そして、その大学時代に好きになったのが、イサム・ノグチと多摩美の教授だった現代美術家のリー・ウーファン(李禹煥)のふたりです。イサムさんは複雑な人生を歩みながら、彫刻だけでなく照明や舞台美術等にも挑み、札幌のモエレ沼公園に代表される広い土地全体を彫刻に見立てた能力は凄いし、お亡くなりになる前の言葉「地球を彫刻する」からはスケールの大きさを感じ、忘れられません。同様にリーさんの自然石と鉄や筆の跡で平面構成した作品を見ていると、なんか息づかいと共に感性とか緊張感が伝わってくるのです。この感覚って日本人的で京都へ行って枯山水の庭を見る時と同じ、静寂の中で自らの考えを展開するしかないのです。とにかくふたりの作品を見ていると、私自身が持っている問題を越えた人の深淵さを知りました。だから、私は自分の答えを見つけるのではなく、探し続けること、作品を彫り続けることの意義を知ったとも言えます。

こだわり :
素材が無機質だからこそ、石との関係にこだわっています。大学院を修了し大学の助手をしていた頃、真鶴の山へ行き自然石を見て「いいな〜」と思った瞬間、石の凄さに圧倒され作れなくなりました。でも、その石は20年後に使用。それは自分が歳を重ねた意味でもあり、石との付き合いも長くなり色々な性格をつかんだからだと思います。で、素材的に石って面白くて不思議、作り手の人間性が出てしまうのです。だから若い時、作品は完成時のまま磨いて綺麗な状態で維持することが望みでした。しかし、最近は一度は出来上がった作品にワザと砥石で削って荒々しい線を残し、それを外に置き自然に任せることもあります。するとコケがついたりして変化。この枯れて行く感じも自分の姿と一緒で悪くなく、自作品を通して時間の経過を見られるのです。加えて鑑賞法だけど、私の作品に関しては触れて欲しい。きっと、想像とは違う温度を感じさせてくれ、別の感触を教えてくれるはずだから。そして、もっと近寄れば、ひょっとすると石が何か語りかけてくれるかもしれませんよ(笑)。

プロフィール

吉村サカオさん
彫刻家
1956年 東京都品川区生まれ
1982年 多摩美術大学卒業
1984年 多摩美術大学大学院修了
同年  第9回神戸須磨離宮公園現代
    彫刻展エスキース出品
 〃  個展開催 アートギャラリー環
    (日本橋室町)
以後、各地で作品発表
パブリックコレクション多数   
*詳しくは → http://y-sakao.com

 

アトリエ全景 素材となる石 愛用の工具 作品・上神明天祖神社の「撫で蛇」

 

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