アトリエ 訪問

ミーツギャラリーで2021年6月末から始まった「十三月の旅の絵画展」の会場に
小川荒野さんを訪ね、作品に囲まれた中でお話を伺いました。

☆小川荒野さんの…

好きな作家:私は小学校1年の時に絵描きになると決めていました。そして、最初に惹かれたのはゴッホ、今ほどではありませんが、周囲は高校受験に必死になっていた中学生の頃でした。それ以前から名前は知っていましたが、画集で観た「星月夜」や「麦畑と糸杉」等の作品に感銘、勉強はそっちのけでゴッホに夢中になり、絵は理屈ではなく、上手い下手だけでもなく心から、生き方の中から、生まれてくるものだと肌で理解しました。よりゴッホのことを知りたいと思い、弟テオとの往復書簡が綴られた厚い本もページがバラバラになるくらい読み、改めてゴッホは命がけで描いたんだなと強く感じ入りました。
高校進学後、父は戦死、母は再婚して一緒に住んでいなかったので経済的に恵まれず、原画が観られる展覧会へ行くことができなかったので、学校の図書館で様々な作家の画集を借りる中、モディリアーニに出会いました。ゴッホとかピカソはなんとなく中学生でも名前は聞いていましたが、モディリアーニは知らず、彼の絵を初めて観た時、私は全身の血が抜けるような感じを受け、絵とはこういうものだろうなと思い至りました。ご存知のようにモディリアーニは人物や裸婦を描きます。当時、私も高校男子ですから、なんとも言えないエロチックな感じも受けました。ただ単なるエロではなく、どの作品にも気品があり、そこに惹かれたのです。そして、描かれているのはごく普通の人だけど、全てに品があり、それが絵には一番大切で、描かれているのは、絵描きの命がけの魂のゆらめきだとわかったのです。生前の彼は絵が売れず、若くして不幸な最後を迎えますが、絵描きとしての生き様を私に示してくれたのです。
ゴッホとモディリアーニ、この2人のお陰で高校卒業する頃には絵に対する礎はできてしまい、その思いは年齢を重ねても変わりません。


こだわり:ほんの一瞬、他の作家に惹かれることもありましたが、ゴッホとモディリアーニへの思いが、私に絵を描かせています。また人それぞれですから、私には芸大も公募展も関係ありません。とにかく絵描きとしての生き様を見せてくれた2人に一歩でも近づきたい思いから、自分の中にある魂と品を大事にし、80歳になったこれからも好きな絵を一点一点描き続けて行くだけです。

 
*取材日:2021年7月6日 撮影のためマスクを外しました。



(構成・撮影 関 幸貴)

 



プロフィール

小川荒野さん
1940年埼玉県越谷市生まれ、現在は春日部市在住。
モディリアーニのひたむきな純粋さとゴッホの情熱に魅せられ画家になる夢を抱き17歳で家を飛び出し自活を始める。その後、スケッチブック片手の旅はロシアからヨーロッパを中心にアメリカ、中国、インドなど40数ヶ国に及び、「放浪の旅の詩人画家」とも呼ばれる。そして、放浪で得た感性を礎にした「十三月の旅へ」の個展開催は日本国内で200回を越え、作品に共感した多くの方々から支持を得ている。
 
長年の友人 久保田信子さんと 思い出の写真 ミーツギャラリーでの一コマ 小川荒野作品集「十三月の旅へ」より

 

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