アトリエ 訪問


2022年9月上旬、相模原芸術家協会展に出展した若生ひとみさんを相模原市民ギャラリーに訪ね、お話を聴かせていただきました。

若生ひとみ(わこうひとみ)さん

作品「日出づる杜の祥雲」と共に

☆若生ひとみさんの…

好きな作家:
真っ先に思い浮かぶのは、約10年前に熱海のMOA美術館で感銘を受けた国宝「紅白梅図屏風」を描いた尾形光琳と琳派の作家たちです。琳派の作品は日本画の概念を覆すような大胆さと洗練さを持ち合わせていて、とても心惹かれます。現代においても高いデザイン性が感じられる上、日本の美しさをダイレクトに表現していて魅力的だと思っています。
数多ある日本画の中でも彼らの作品や活動はとてもユニークで、今で言えばデザイナーやディレクター、プロデューサーに近い存在のように思います。琳派を知る以前の私は浮世絵が大好きで、そこから多くの学びを得ていました。さらに強く惹かれた琳派の作品はモダンで秀逸な作品ばかりだったので、画面構成や配色などをしっかり頭に叩き込むように展覧会にも多数足を運びました。
琳派や浮世絵以前、学生時代に傾倒していたのは、アールヌーヴォーの代表的作家であるアルフォンス・マリア・ミュシャです。
初めは彼の繊細で華やかな商業ポスターなどの版画やパッケージデザインに夢中になっていましたが、後になってから油絵の存在を知り、次第にそちらにも興味を抱くようになりました。光と影が美しくデザイン性の高い彼の絵画に惹かれ、学生時代は展示があれば必ず観に行き、図録も購入していました。
最近では、2017年に六本木の新国立美術館でミュシャの晩年の代表作「スラブ叙情詩」を観たことが今も心に深く残っています。年齢を重ねたからかもしれませんが、今はミュシャが晩年に描きたかったと言われる正統派の絵画に強く心惹かれています。
光琳とミュシャ、生きた時代も場所も全く違いますが、私の中では繋がっていて、作品を制作している時、彼らの作品の構図や豊かな色使いなどが気づかぬ間に頭の中をよぎっている気がしています。これって影響を受けると言うより、何か私とリンクしているのかもしれません。この感覚を、これからも大事にしていきたいです。


こだわり:
私は人の心を癒して元気にする絵画を描きたいと思っています。個展会場などで私の作品をご覧いただいた時に、森林浴をしているような心地良さを感じてくれたらとても嬉しい。だから、できる限り我とか雑念を入れないようにして描きます。
そのためには日常生活の中で区切りをつけること、自分の時間を作ることを大切にしています。方法としては朝早く起き、祝詞の奏上など古神道の行法を毎日続けること。自宅での日常生活では30分程度のショートバージョンで行いますが、山の制作現場では、毎朝きっちり約1時間のロングバージョンを行ってから制作に臨みます。そうすることによって、雑念が払われ心身ともにスッキリします。
さらに山の中だと大気も清々しく自然との一体感を得られ、普段の生活では考えられない体験をすることもあります。例えば、つい先日などは、顔の前で野鳥がホバリングする姿を目にしました(笑)。信じられないかもしれませんが、こうした思いがけない出来事の連続や自然現象を目の当たりにして受けとった感覚が、作品に反映されるのではないかと私は思っています。




(*印写真提供 若生ひとみさん / 構成・撮影 関 幸貴 )



プロフィール

若生ひとみさん
◆若生ひとみ(わこうひとみ)さん
画家。
神奈川県横浜市生まれ、現在は相模原市在住。
武蔵野美術大学 造形学部視覚伝達デザイン学科卒業
グラフィックデザイン事務所 ルビーデザイン代表
日本カラーイメージ協会 理事
独立行政法人 工業所有権情報・研修館 知財総合支援窓口 デザイン専門家
https://www.beyond-the-doors.com

◇これからの展覧会
○健康をめざすアート展Ⅱ
銀座ミーツギャラリー
2022年10月24日(月)~29日(土)
12:00~19:00(初日15:00~、最終日17:00まで)

○若生ひとみ展Ⅻ
銀座画廊 美の起原
11月2日(水)~8日(火) *6日の日曜日は休廊
11:30~18:30(最終日16時まで)
https://xn--xxtyc847fky0a.jp

○KSAC ART FESTA 2022
中目黒 MDPギャラリー
11月4日(金)~19日(土)
11:00~19:00
※最終日は18:00まで、日・月・祝日は休廊
http://mdpgallery.com

○ArTone 2022 iPhoneケース展2022
アーツ千代田 3331 B104
11月10日(木)~12日(土)
10:00-21:00(最大):終了時間未確定
https://www.3331.jp
 
愛読書「浮世絵のことば案内」と「画家 AN ARTIST」 京都三条にある老舗店で購入する愛用の刷毛 *山のアトリエでの制作風景 *作品「あまてらす」

 

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