アトリエ 訪問


2022年8月、Independent Tokyo 2022に初出展した成田淑恵さんをJR浜松町駅近くの会場に訪ねました。

成田淑恵(なりたよしえ)さん

298羽の雀が描かれた作品「生命の讃歌」

☆成田淑恵さんの…

好きな作家:
幼い頃から、ひとりで絵を描いたり工作をするのが好きでした。小学校の頃、算数や国語はあまり得意ではありませんでしたが、図工の時間には先生から褒められ、市の作品コンクールでは表彰されたこともありました。
その私が中学校1年生の時に美術の教科書でサルバドール・ダリの「燃えるキリン」と「焼いたベーコンのある柔らかい自画像」を観た時、なんだか分からないけれど、とっても力強く刺激的で魅了され、その前までは綺麗な作品が素晴らしいと教育されてきたので本当に驚きました。そして、「亡くなった後でも教科書などに載って、人々に感動を与えたり、大切にされる画家の仕事は凄い」と思い、私もその道を志し、高校卒業後には美術系の学校に進みたかったのですが、父の反対で叶いませんでした。でも、画家になる思いは変わらず19歳から洋画家の故瀧川英明先生が主宰するアトリエに週2回、10年間通い続けました。
その生活の中で知ったのが、日本画の堀文子さんです。堀さんは作品制作をするにあたって自分の頭で覚えているモノではなく、必ず自分の眼で観て、実際の様子を描き、素敵な作品に仕上げていました。それって当たり前だと思うかもしれませんが、慣れてくるとなかなかできることではありません。彼女の画文集を通して大切なことを教えていただきました。
同様に瀧川先生からは、動物を描くにあたって描く前には必ず、その動物を観察することの重要さを教えていただき、自分の目で観て写真に収めることを痛感。だから、描く対象の動物が決まったら、私は動物園、養豚場、牧場、何処へでも向かいます。


こだわり:
私が楽しんで描かないと、作品を観てくれる方に込めた気持ちは届かないと思うので、まず、自分が心底楽しんで描くことを心掛けています。もうひとつ大事にしているのは、動物好きの私は動物ばかり描いているので、自然界で人間よりも厳しい条件下で真摯に生きている彼らの姿、讃歌を表現したい。一瞬輝く愛らしさ、力強い生命力を表せたらと思いながら描き進めています。でも、制作が順調にいかない時は、途中で思いっきり変えます。油絵具の場合は、薄くシャビシャビに溶いた絵具をバシャとかけ、下の絵が透けて観えるぐらいの感じにし、上に重ねて描くことで違う表情を狙います。画材も考え、キャンバスだけじゃなく木に描いたり、描く対象が雀なら軽やかな色鉛筆、重みのあるライオンは油絵具を使用、常に自分なりの工夫をしています。
余談ですが、私のアトリエにはバイオリンの絵が飾ってあります。これは、私の恩師である瀧川英明先生の最後の作品です。5年前に病気で亡くなったですが、亡くなる2日前に体調が悪い中、完成させました。この作品が近くにある事で、健康な自分が怠けないようにといつも励まされてます。




(撮影・文 関 幸貴)



プロフィール

成田淑恵さん
◆成田淑恵(なりたよしえ)さん
画家。
1983:岐阜県生まれ
2001:岐阜県恵那農業高等学校園芸科 卒業
2002:洋画家 故 瀧川英明氏に師事

◇主な個展
2017:「Callenge Wall7」軽井沢ニューアートミュージアム
2018:「VOICE」Gallery Q 東京・銀座
2021:「生命の讃歌」GalleryQ 東京・銀座
◇主なグループ展
2018:「羅針盤セレクション」アートスペース羅針盤 東京  
2019:「国展」新国立美術館 東京
2021:「国展」愛知県美術館ギャラリー
2022:「アートブルーム3」 ミーツギャラリー 東京・銀座
*他に日動画廊(東京・銀座)の「太陽展」等に出展多数
◇主な受賞歴
2008:「上野の森美術館大賞展」賞候補
2016:「上野の森美術大賞展」優秀賞ニッポン放送賞
2017:「昭和会展」優秀賞 「TYK絵画大賞展」大賞
2021:「国展」国画賞

◇web
https://www.facebook.com/yoshi.nari.77
https://yoshie-narita.jimdo.com
 
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