アトリエ　訪問

ハナイ・チエさん

☆ハナイ・チエさんの…

描く理由：私は高校時代に美術クラスを選択したぐらいで、これまで絵の先生についたこともなく、作品制作に関してはほとんど独学です。加えて、画家として活動を決めたのも割と最近の2019年5月ですから、他のアーティストの方々とはかなり違う歩みをしてきたと思います。実は40歳まではOLで、2011年からは私の特性を活かし、学んでいたシルバーアクセサリーを用いたアートセラピーの個人セッションを自宅で行なっていました。セラピーの目的は、相談者が自覚していない心底の自分を銀細工を作ることで気づきを得て癒し、その人が本来進むべき道を見つけるお手伝いをすることでしたが、2018年ごろ停滞気味に。そんな時、人生の師から、「ハナイさんは独自の世界、自らの表現を確立した方が将来的に良いですよ」と助言され、天啓の如く閃いたのが絵を描くことでした。そして、5ヶ月後の2019年9月には初個展開催し、好評を博しました。でも、私としては銀細工が絵に代わっただけで、多くの人々の生き方をサポートしたいという本来の方向性は何も変わっていません。

好きな作家：高校時代から美術館は好きでよく通っていましたが、私は画家になった動機が他の方と異なるので創作の参考にしたアーティストはほとんでいません。でも、あげるとするなら、マチスとかダリ、クリムトが「好きだな～」というぐらいの感じです。ただし、「自然界にある美」に通じたり、「自然との調和」が感じられるガウディの建築物には心惹かれます。2018年にスペインで観たサグラダ・ファミリアの色使いや曲線を多用した建築は本当に素敵でした。あと「好きなもの」というか、私の生き方に大きく影響しているのが、宇宙を含む自然です。昔から微細なことに感じる体質なので、自然を感じられる澄み切った空間に身を置くことが、私にとってはとても大切なのです。

こだわり：「皆さんが辛い時に微笑んでもらえるような絵が描けたら」という思いで描くことはありますが、何を描くかを考えたら描きません。また、知識や技術に頼っても描きたくありません。なんて言って良いのか難しいけれど、ひとりの人間が考えて描いても限定された世界での結果だし、心の解放に繋がらない気がするからです。だから、私は内なる他者と会話をする感覚でインスピレーションを受けながら描きます。例えば、「青」のイメージが浮かんだら、キャンバスに青と言った具合に。それを自然に繰り返して行くことで、私の絵は生まれます。あと忘れてはならないのが、自然との共存を込めた日本人の精神を思い出すような絵を描くのもテーマのひとつです。そのために不要になった古い家屋の格子とか、和紙を使って制作することがあります。でも、描き終わるまでどんな絵になるのか答えが見えていないのが、楽しみのひとつでもあります（笑）。