アトリエ 訪問

青空が美しい10月初旬、独自の陶芸作品を作り続けているカブキさんに
制作のホームグランドである横浜市陶芸センターで、コロナ禍の歩みについて語っていただきました…

小池カブキ茂秋(こいけかぶきしげあき)さん

小池カブキ茂秋さん

☆カブキさんの…

コロナ禍での日常生活:65歳で退職し再就職を考えた時、それまでの様な会社勤めをやめ、長年住んでいる横浜市に対して奉仕活動ができないかと探していたら、横浜港シンボルタワーでグリーンキーパーを募集していたので応募。そうしたらタイミング良く採用され、現在に至っています。勤務は水木金の週3日、午前8時半から午後5時半まで。仕事内容は芝生など、園内の植物管理、潮風を受けながら屋外での作業が主なので、かなり健康的な労働環境です。コロナ禍の非常事態宣言下、一般客はシンボルタワーへ入れないことがありましたが、植物は日々成長するので私は通常勤務でした。
働いていないのは土日月火の4日間、週末は作陶にあてていましたが、コロナが流行り始めた昨年3月から5月まで陶芸センターも休館。それで暇な時間がポカっとできてしまい、散歩の時間を増やしたら、ちょうどその頃、横浜市が「よこはまウォーキングポイント事業」をやっているのを知り、私もスマホに歩数計アプリを入れて登録。以前より気を入れて歩き、順位や歩数など毎月データが出てくるのが面白くて歩き続けていましたが、順調とばかりは言えず8月には相棒だった愛犬を亡くしてしまいました。当然、私は落ち込みましたが、それではダメだと思い、家の近くの久良岐森林公園を黙々と歩き、そのお陰で成果が認められ、今年9月末には令和2年度の表彰状と副賞のボールペンをいただきました。仕事と歩く以外、コロナ禍の自宅ではfacebookを眺めたり、俳句を詠むぐらいの感じで過ごしていました。外出は買い物など自分の車で出かける以外、横浜の繁華街に出掛けたのは大野愛ちゃんの個展を観に横浜そごうへ行ったのと、ワクチン接種でバスに2回乗ったぐらいで、あまり人と接しない生活を送っていました。


コロナ禍での制作活動:まず、私は陶芸で生活していないので、コロナ禍でも割と気楽だと言えますが、制作する作品は少なからず影響を受けています。以前、ここのセンターでも陶芸祭りがあり、作品販売をしていたのですが、そうした催しがなくなってしまったので、大皿やどんぶりをやめ、今はちょっとした機会に持っていきやすい湯呑のような小さな作品を主に制作しています。
加えて作品制作に関して言えば、私は趣味でやっているからこそ、元技術者の性分のせいか断面図や釉薬を考え、既成のカタチとは一味違うオリジナリティーを大切にした作品を作りたいと思っています。とにかく土をいじっているのが好きなので、これからも作品作りを大いに楽しみたいです。
あと作品を販売する機会も減りましたが、例年、日本各地で行われていた陶芸作品の公募展がほとんどなくなってしまったのが残念です。ちょうど10年前の2011年、日本女子がサッカーのワールドカップで優勝した年に茨城県の笠間で開催された公募展に、私が「なでしこジャパンに乾杯」と言う名のビールグラスを出したら、見事に入賞。副賞の試作ビール500ml缶2ケースも嬉しかったけれど、今は、ああした何気ない日常が再び戻ってくることは願わずにはいられませんね。



(構成・撮影 関 幸貴)

 



プロフィール

小池カブキ茂秋さん
◇小池カブキ茂秋(こいけかぶきしげあき)さん
プロフィール

陶工。
1950年新潟県糸魚川市生まれ。
新潟県立糸魚川商工高等学校 工業化学科卒業。
会社勤めをしながら始めた陶芸を退職後の今日まで
30年以上継続。
ArtQメンバー。
 
ユニークな形をしたカブキ作品 「よこはまウォーキングポイント事業」の表彰状と副賞 陶芸センター作業場 カブキさんの道具箱

 

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