ミーツギャラリー企画グループ展
「アートブルーム2 - アートソムリエ 山本冬彦が選ぶ若手作家展 - 」
開催記念特別企画

2021年5月初旬、銀座の隠れ家で山本冬彦さんにお会いし、
6月8日から開催される「アートブルーム2」について語っていただきました…

山本冬彦 ( やまもと ふゆひこ)さん

銀座の隠れ家にて

☆山本冬彦さんが語る「アートブルーム」

今回の「アートブルーム2」を含め、私が企画するグループ展の基本理念は若手作家の応援です。この考えは終始変わらず、ご縁があり私の考えに賛同や共感していただいた各地のギャラリーさんの協力を得て開催しています。なぜグループ展かと言えば、作家にとって大切な発表の場となる個展とは別に作家それぞれが多様な作家と一緒に発表することでお互いに刺激や勉強をしてもらいたいという思いからです。
一般的には日本画、油画、イラスト、版画などのジャンル別の縦割りとか、同じ団体展、同じ美大出身者、同じ地域など同質的なグループ展が多いですが、そのような縦割りのグループ展はそれぞれのホームグランドでやればいいと思います。しかし、コレクターでもある私のグループ展はできるだけ未知の作家同士を組み合わせた「他流試合」をコンセプトにした企画展にしています。
具体的に言えば、私が選ぶ作家はジャンル、出身美大、団体展、地域などの同質的な作家に囚われない横断的な人選によるグループ展にしています。ですから展示会場には様々な表現や個性的な作品を一堂に会して観られるということで毎回楽しみに来場されるお客様もいらっしゃいます。会期中、そうした方々の視線の中で作家は自分の作品で真剣に「他流試合」を体験するという状況になります。
同質的な作家ばかりだと作風や価格等「そのジャンルの常識」に従うので何も疑問を感じないのです。例えば価格一つを見ても日本画と洋画では全く違った体系がありますが、それぞれの分野で「先輩より安く後輩より高い」という価格を付けているので、それを当たり前と思っています。しかし、多様なジャンルのグループ展になると、それぞれのジャンルの常識が他のジャンルの常識とは違うことが実感できます。日本画だから高くて当然と思っていたが、この価格では洋画やイラストにはかなわないとか、さすが日本画は高いが内容的にも当然だ等を肌で感じてもらいたいからです。つまり作家にも生産者の視点だけでなく、作品のテーマや質、価格、大きさも重要な判断材料であるというコレクターの視点も知ってもらいたいからです。
普段はそれぞれのホームグランドで縦割りのグループ展をやればいいと思いますが、時々こうした「他流試合」で刺激を受けることで、同世代の多様な競争相手の存在やタコ壷的なグループの中にいては分からない価値観を作家自身が肌で感じ、アート市場の現実をより深く理解し、自身の制作活動の糧にしてもらえることが私の望みでもあります。また、私のスタイルのグループ展は、絵を初めて観る方々やコレクターにとっても、様々なジャンルの作品を一堂に観るができるという点で好評です。
今回の「アートブルーム2」には、7名の女性作家を選びました。コロナ禍で雨の多い季節ですが、ミーツギャラリーで心地良い時間をお過ごしください。よろしくお願い致します。

 



取材日:2021年5月8日



*撮影協力:銀座中央ギャラリー

 



プロフィール作品・DM

山本冬彦 ( やまもと ふゆひこ)さん
1948年 石川県小松市生まれ
アートソムリエ/隠居コレクター
東京大学卒業後、保険会社などで40余年間の会社員生活を送る。その間、毎週末には趣味で銀座や京橋界隈の画廊巡りをし、若手作家の作品を購入し続けたサラリーマンコレクターで収集作品は1700点以上。
2010年には新宿の佐藤美術館で「山本冬彦コレクション展:サラリーマンコレクター30年の軌跡」を開催。現在もギャラリー巡りとコレクションは継続、アート普及のため講演や活動、若手作家の発表の場として数々の企画展を実施。雑誌や新聞などの取材執筆のほか、毎日のように自身のSNSでアートファンへの情報提供を行っている。主な著作は「週末はギャラリーめぐり」(ちくま新書)。

山本さんの隠れ家や多くの画廊がある奥野ビル 隠れ家の扉 隠れ家の壁に架けられた作品 銀座中央ギャラリー「保存日本画5人展」で

 

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