アトリエ 訪問

10月中旬、ミーツギャラリー企画展アートブルームを終えた蔵野春生さんを逗子のアトリエに訪ね、
「好きな作家」「こだわり」について語っていただきました…

蔵野春生(くらのはるお)さん

作品「想い巡り」S50号とともに

☆蔵野春生さんの…
好きな作家:

幼い時から絵を描くのが好きで、小学校二年生頃から親戚の女の子と一緒に週一ペースで絵画教室に通っていました。今ではその教室はなくなってしまいましたが、教えていただいた先生とは今でも絵を通じてのご縁があり、時折ご指導をいただいています。思い返せば、私は絵が特に上手な方ではありませんでした。ただ、幼いころから描くことが好きで、絵を描いていれば、気持ちを集中することができました。時として、絵以外に興味をそそられる対象も現れましたが、その情熱はすぐに途切れ、継続して現在まで続けて来られたのは、絵を描くことだけです。当然のように勉強も好きではなかったので、高校生の頃には美大への進学を意識するようになり、現在に至っています。
好きな画家はたくさんいます。特にルネサンス期の画家が好きで中でも惹かれるのが、ドイツ人画家ルーカス・クラナッハ(1472~1553)です。クラナッハの描く女性像は、妖艶な魅力があり、強く心を惹かれます。彼の作品に現れる人物は、どんなモデルも同じ様な顔つきをしているように感じます。彼ならではの解釈・ディフォルメを加え、何とも言えない丸みがあり、何とも言えない妖艶さが表現されているように感じます。その妖しさが魅力的です。近代の画家では、フランス人画家バルテュス(1908~2001)も好きです。彼は古典絵画の表現や技法を、現代に活かして描いていた画家です。初めてバルテュスの作品を美術館で観たときに、絵肌や色味の美しさに、三十分ほど絵の前に釘付けになった経験があります。バルテュスは、なかなか日本で見られる機会が少ないのが残念です。クラナッハとバルテュスからは、ある面では共通する魅力を感じます。共に絵肌の古典的な印象から、古いものから新しい刺激を感じるという、言葉にすると矛盾する感覚が魅力です。

こだわり:
絵の世界だからこそ表現しうる画面を描きたいと思っています。ここ十年くらいはひたすら油絵ばかり制作していましたが、最近は様々な技法を試しています。今はアクリル画も油絵と並行して描いています。描くことにより、私の求める情景が表現できるよう、日々模索しています。具象画を描くことは、元々の立体のものを平面化していく行為ですので、そこに無理や不自然が生じます。その無理や不自然さが、魅力のひとつだと思っています。これから描く絵の完成図は、頭の中ではっきりとイメージができています。そのイメージを具現化するために、どのような方法で表現をしたら良いか、日々試行錯誤しています。日々絵について色々なことを考えますが、絵を描いているときは何も考えず没頭していることが多いです。
絵具の色は、「カドミウムレッド」が一番好きです。カドミウムレッドは、郵便ポストの様なはっきりとした鮮やかな赤です。カドミウムレッドは私にエネルギーを与えてくれ、また絵に生命力がみなぎってくるように感じます。私は描き始めはモノトーンで描き、その上から着色する技法を使っております。モノトーンで描いているときは、早くカドミウレッドを加えたくて仕方がありません。作品に鮮やかな赤を入れることで、私の地味な面とのバランスが取れるように感じるのかもしれません。


(構成・撮影 関 幸貴)

 



プロフィール

蔵野春生(くらのはるお)さん
画家
1981年:東京都生まれ
2005年:多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業
独立美術協会(準会員)/日本美術家連盟(会員)

◇主な展示歴 活動歴
2007年:独立展初出品 / 国立新美術館 / 東京・六本木
*以降毎年出品('14 , '16 新人賞 '17 佳作賞 '18 , ‘19 奨励賞)
2007年:第3回世界堂絵画大賞展/新宿世界堂本店 / 東京・新宿 (大賞)
2013年:第48回昭和会展 / 日動画廊 / 東京・銀座
2018年:2018三越美術逸品 / 日本橋三越本店 / 東京・日本橋
2019年:第54回昭和会展 / 日動画廊 / 東京・銀座
2020年:アートブルーム / ミーツギャラリー / 東京・銀座
◇web
ホームページ ▷
http://www.kurano-haruo.com
facebook ▷
https://www.facebook.com/kuranoharuo
好きな「世界素描大系」 モデル  愛用の筆  作品 

 

Archive | アーカイブ

Atelier Archive ►