アトリエ 訪問

1月中旬夕刻、村岡ケンイチさんを小平市の自宅アトリエに訪ね、好きな絵との関わりや制作に対する気持ちを語っていただきました…

村岡(ムラオカ)ケンイチ さん

村岡ケンイチさん 

☆村岡ケンイチさんの
好きな作家 :

フリーランスになって数年後、妻と2人で航空券だけを買いホテルも決めずバックパッカーの様に約2週間の予定でヨーロッパへ渡り、私たちのペースで美術館等を巡るアート探訪旅行を数年かけて計5回行い、約12ヶ国を歩きました。いつもお金に余裕はありませんでしたが、そうした体験も経て、数多くの絵画作品を見ているので、それぞれから少しずつ影響を受けていると思います。 あえて、その中から好きな作家さんの名まえをあげるとしたら、ジョン・バーニンガム、ミハエル・ゾーバ、藤田嗣治…かな。 彼らの絵としての存在感と美しさ、独自の世界観、構図の素晴らしさには目を惹かれます。 でも、似顔絵を描く私としては、日本の先人で美人画ではなくデフォルメして不細工に描いてしまう写楽、構図が衝撃的で大胆な北斎、独特の色合いを映えて見せる若冲からは憧れと同時に今も大いに刺激を受けています。 そして、かつての探訪旅行の際、オーストリアのクリムト作品がたくさん展示された美術館の展示物の中に古い見開きの書物があり、その右ページには浮世絵、左にはそれを当時の海外作家が模写した油絵作品が載っているのを見つけ、斬新と言えるクリムト作品と同時代の洗練された人々が、浮世絵から刺激を受けていた事実に直面した時は浮世絵の凄さを物語っている気がしました。 その時、私も線の使い方、余白美等、日本の芸術の素晴らしさをオーストリアで痛感、「浮世絵が好き」と言う言葉では気持ちを表せなくなくなってしまいました。

こだわり :
私が絵を描くのは、似顔絵セラピストとして医療、介護施設で患者さんの似顔絵をカラーで描き笑顔を提供する時と、「似顔絵国際大会」に代表される自分自身の世界、思考を白黒の線画に託して自己表現に挑む時です。 似顔絵セラピストの場合には医学的効果、社会的使命もあり限られた時間で患者さんの喜びや人生を表すのが最も大切なことなので、傾聴にはかなり力を注ぎます。 しかし、白黒の線画の場合は自分と向き合い1人の世界に入ることが鍵になり、セラピストとは全くの別人になります。 だから、国際大会の時はポジション取りが大事、日本人参加者の多くは集まる傾向がありますが、私は、いつも1人で外国人の中で描くことを選びます。 何故なら、周囲に言葉の壁ができ集中できるからです。 でも、2010年の韓国大会の時は大変でした。それまで白黒部門で連続優勝をしていたのでプレッシャーがあり、4日間の期間中、初めの2日間は悩んで描けませんでした。 それは絶望的な状況で優勝は望めません。 しかし開き直り、勝負は諦め、子どもの頃の様に周囲を気にせず楽しみながら描きました。 その結果、ヨーロッパの風刺画風に人間を動物にし、食事をしている光景を一気に6枚描き、白黒部門で優勝することができました。 やはり線画を描く時は楽しむのが一番です。 そして、描くはペンテルの普通の筆ペンを自分で工夫して、黒がすごく出る、ちょっと出る、かすれる感じに描ける、の3種類と、極細タイプも出かたを2種類にして使っています。 ただ、白黒にこだわりはなく将来的には色を使う可能性もありますよ(笑)。

プロフィール

ポートレート
似顔絵セラピスト/イラストレーター。
1982年 広島生まれ、O型、水瓶座。 2004年 名古屋芸術大学デザイン学部イラストレーション科を卒業。 卒業後、星の子プロダクション所属。 2006年 県立広島病院で「似顔絵セラピー」を発表、似顔絵セラピストとして医療施設・介護施設を中心に似顔絵を通して「笑い」を提供する活動を開始する。 NHKテレビ「お元気ですか 日本列島」の特集で紹介されるなど、メディアにも出演、「似顔絵は人を癒し、楽しい空間を提供することができる」ことを発信している。 2007年 フリーランスとして活動を始める。 2012年 似顔絵セラピーの効果が、医学論文として日本農村医学会雑誌「第60巻第4号」に掲載。 また、日米韓の三か国で行われた似顔絵国際大会・白黒部門4連続優勝。 現在は、東京都・広島県・山口県岩国市を拠点に活動している。

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◇受賞歴

2007年 似顔絵国際大会「NCNミニコンベンション in Tokyo」白黒部門 1位2009年 似顔絵国際大会「NCNミニコンベンション in Tokyo」白黒部門 1位2009年 似顔絵世界大会 ISCA「アメリカ・サンダスキー」白黒部門 1位デザイン部門 3位体付き部門  3位2010年 似顔絵国際大会 ISCA「ミニコンベンション in 韓国大会」白黒部門 1位作品部門 8位ボディシチュエーション部門 1位

 

好きな図録、愛読書 愛用画材 作品制作中 作品「夜の動物園」 La vie

*写真提供 村岡ケンイチさん  (構成・撮影 関 幸貴)