アトリエ 訪問

晴天の10月末、今福優子さんを自宅アトリエに訪ね、好きな作家、こだわり、創作に関する様々なことを語っていただきました…

今福優子(いまふくゆうこ)さん

今福優子さん 自宅アトリエで

☆今福優子さんの
好きな作家 :

グスタフ・クリムトや写真家のジャンルー・シーフにも惹かれるし、洋画、日本画の展覧会を美術館に見に行っています。 ジャンルを問わず好きな作家はいますが、凄く好きなのは、日本画家の速水御舟(はやみぎょしゅう)と、伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)です。 私が絵を習い始めたのが2000年、その頃、いろいろな画家の絵を見始め、最初に惹かれたのが二人でした。 特に御舟の「炎舞(えんぶ)」が好きです。 その絵をはじめて見たのは画集でしたが、4年程前に恵比寿の山種美術館で見た原画は意外に小振り(寸法:タテ120.3×ヨコ53.8)で、その形容できない魅力に私の心はわしづかみされました。 日本画の静けさの中にある色使いや彩りが好きですが、「炎舞」は特別。静寂の中を炎が舞い、本物は大嫌いだけど緻密に描かれた蛾は美しく、妖艶さを醸しだし、絵の凄い力を見た気がして心底感動しました。 若冲の絵も、美術館で原画を見ています。 背景をおさえた色で、色数も少なく落ち着いていますが、さし色、斬新な構図から成る絵全体を見ると、とてもゴージャスで惹きつけられました。 特に若冲の代表的な「群鶏図(ぐんけいず)」は、御舟の蛾同様、本物の鶏が苦手な私にも綺麗だと感じさせてくれたのは、得難い経験でした。 そして、その二人の影響を無意識に受けていると思ったのが、去年(2017年)12月、私の初個展開催の時でした。 絵を見た方から、「日本画っぽいね」とか、「炎舞」みたいとも言われました。 ギャラリーデビューの作品が「炎舞」の部分模写でしたが、色鉛筆で描くようになってから二人の作品に対する思いが無意識のウチにあったのかもしれません。 これからも二人には知らず知らずのうちに、影響されるのではないかと思っています(笑)。

こだわり :
もともとは油彩を描いていましたが、2014年から色鉛筆で描くようになりました。 動機は銀座のとあるギャラリーで、グループ展を見た時にさまざまなジャンルの作品の中に色鉛筆画を見たからです。 それは写実の静物画や風景画でしたが、最初は色鉛筆で描かれたとはわからず、「色鉛筆でこんなに濃厚な上に繊細でリアルに描ける!」と、衝撃を受けると同時に「これだ!」と閃き、私の進む道を見つけたのです。 その後、書店に向かい教本を買い求め、色鉛筆画の勉強と練習を始め、現在に至ります。 私にとって色鉛筆は、油彩よりかなり時間がかかりますが、筆圧をコントロールしやすく描きたいと思うものを表現しやすいので、筆に戻る気は全くなく、色鉛筆の可能性を追求したいと思っています。 描く対象ですが、そもそも私は美女フェチなので美しい女性に目が行き、綺麗な人を絵に描きとどめておきたいと思っています。 でも、ハッピーオーラ全開の絵は描くのではなく、女性のサガ、ウチに秘めた影、妖艶さ、情熱的な表情、そこに歳を重ねたからこその私の思いを込めて描いていきたいです。 今はこのように制作していますが、絵を描く対象や思いは変わっていくと思うので、何かのキッカケで方向性が違っていってもよいと考えています。

プロフィール

ポートレート
色鉛筆画家。
1971年12月10日、静岡県御殿場市出身、射手座、A型。 1994年 東京農業大学卒業。 近代日本美術協会会員、 KSアーティストクラブ会員、 日本文芸家クラブ会員、 ミーツアートクラブ会員

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◇展覧会情報

KSAC ART FESTA 2018
2018年12月1日(土)~16日(日) 
会場:GALLERY21: 東京都港区台場2-6-1 グランドニッコー東京台場3F
枝香庵ウィンターフェスタ2018-2019
2018年12月19日(水)~26日(水)
2019年1月5日(土)~10日(木)
会場:ギャラリー枝香庵 :東京都中央区銀座3-3-12 銀座ビルディング8F

 

愛用色鉛筆 愛読書 モチーフ ベネチアの仮面 作品「炎舞」の部分模写

(構成・撮影 関 幸貴)